その2「光る壁画」内視鏡のお話
[2018.09.25]
今回は今や日本が世界をリードする消化器内視鏡のお話です。
食道から十二指腸までを観察する上部内視鏡検査(俗に胃カメラと呼ばれることもあります)を受けられたことはありますか。消化器内科で内視鏡なしの診断、治療は考えられない現在ですが、外来では「ゲッとなるからカメラはいやです。」と断られることもしばしばです。
実はこの内視鏡、開発したのは日本人なのです。昭和25年、試作機第一号が作られました。当時の機械はまさに胃カメラで、胃の中に入れる管の先に小型の光源と小さなカメラが内蔵されていたのです。初めは胃のどこを撮っているかわからないやら、光源が切れるやら様々な苦労があったようです。吉村昭氏の小説に開発した男たちのドラマが描かれています。ぜひご一読を。
今はファイバースコープに進化し、管の先にはカメラでなくCCDセンサーがついています。画像もデジカメ写真並みにきれいで検査もずっと楽になっています。先人の苦労を思って胃の検査を受けてみてはいかがですか。
ちなみに写真は我が家の本棚にある新潮文庫(昭和63年 第2刷)ときれいではありませんが私自身の胃壁「光る壁画」です。
参考サイト:オリンパスメディカルタウン(会員制)