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その17 麻酔の夜明け

[2020.10.17]

 

  

 モートンのエーテル吸入器

ウィリアム・モートン                 華岡青洲とマンダラゲ

 

 10月は医学の歴史ではちょっとメモリアルな月です。今は手術といえば麻酔をかけて患者さんが眠っている間に終わってしまうというのが普通です。しかし200年位前までの手術は激痛との闘いでした。歴史的に有名な麻酔の発明というのが1846年10月16日です。アメリカのマサチューセッツ総合病院でウィリアム・T・G・モートンが作ったエーテル吸入器で頸部腫瘍の無痛手術に成功したのです。この日はいまでも「エーテル・デイ」として記憶されています。実はこれ以前にもホーレス・ウェルズ笑気麻酔クロフォード・ロングがエーテル麻酔を行っているのですが公開手術のインパクトに及びません。麻酔の人類への恩恵の一方で麻酔特許争いの壮絶なドラマこの後に待っています。参考書籍をぜひご覧ください。        日本人として忘れてならないのは「エーテル・デイ」の約40年も前に紀州の華岡青洲がマンダラゲ(チョウセンアサガオ)などから調合した麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を用いて乳がんの手術に成功したことです。1804年(文化元年)10月13日のことでした。世界に公表されていたら世界初の全身麻酔手術となるはずでした。日本麻酔科学会ではこの業績を記念し10月13日を「麻酔の日」と定めています。通仙散が完成するまでの感動の物語も有吉佐和子さんの小説でどうぞ。

 10月になり急に気温が下がってきました。一旦落ち着いてきたかと思えた新型コロナウイルス感染症がまた増加の気配があります。インフルエンザの流行時期も近づき心配な今日この頃です。皆様くれぐれもご自愛ください。 

 参考書籍                                                                                                                      「エーテル・デイ」ジュリー・M・フェンスター (安原和見 訳) 文春文庫  「華岡青洲の妻」有吉佐和子 新潮文庫

写真出典 Wellcome collection   https://wellcome.org            日本郵便トップ > 平成12年特殊切手「第100回日本外科学会総会記念郵便切手」

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